夏場の作業「摘果」
1本の木になるミカンの数をご存知ですか?収穫時の温州ミカンは成木で60~70キログラムが良いとされています。ミカン1個が100グラムとしたら600個~700個です。

めっちゃ、多いやん
と思うかもしれませんが、実際はもっともっと実をつけます。ミカンの葉25~30枚に1つの果実が大きさ的にも味的にも良いとされています。その美味しいミカンを作るための作業が「摘果」です。
「摘果」ってご存知ですか?所謂「間引き」です。みかんの摘果は7月ころから始まる「粗摘果」と9月ころ行う「仕上げ摘果」があります。現在は粗摘果の時期です。

摘果の目的
昨年の愛媛県の温州ミカンの収穫量が少なかったというニュースはご存知の方もいらっしゃると思います。 (https://www.maff.go.jp農林水産省ホームページ)
昨年あまり実をつけなかったということは、今年はたくさん実をつけるということです。
ミカンの樹には表年と裏年があります。実を多くつける年を表年、少ない年を裏年と言い、表年と裏年が交互に繰り返される現象を隔年結果と言います。 近年、気候の影響で隔年結果が生じるケースが増えてきています。
農家はこの隔年結果をなくすため、摘果をします。
着果数を減らすことにより、残ったミカンのサイズが均一になり、更に果実に十分な栄養が行き渡り高品質なミカンが収穫できるようになります。
また、早い時期に着果数を減らすことにより、樹の負担を軽減させ、隔年結果を防止します。
摘果が出来なかった豊作の年の樹の負担は計り知れず、樹が枯れてしまうこともあります。
また、収入が良かったり悪かったりと経済的にも安定しません。
摘果作業は美味しいミカンを栽培し、更に収入を安定させるためには大変重要な作業です。
摘果みかんの栄養価
以前、温州ミカンの栄養価について記事を書きました。(参照:ミカンの栄養価と効果)
温州ミカンの栄養価は、
① β-クリプトキサンチン
② クエン酸
③ ペクチン
④ ヘスペリジン
⑤ ビタミンC
これらの栄養がギューと詰まったのが摘果ミカンです。
摘果ミカンは通常ちぎって園地に捨てます。園地で有機肥料になるのですが、

「もったいないな~、何かできないかなあ?」
と常々考えていました。そこで一発奮起。勇気を出して、某おかしメーカーにコラボ出来ないかと打診をしましたが、答えは「今現在果物を扱うことは考えていません」との回答がありました。すごく残念に思いましたが、逆にすぐに連絡を下さった企業広報課の方に感激しました。

ん~、他に出来ることは・・・
香りが良いんだから化粧品をつくれないか…ドライフルーツにするか…OEMでお願い出来ないか…みかんの皮を餌に混ぜた「みかんぶり」があるのだから、摘果ミカンを乾燥させて粉末にしたものを鶏の餌に混ぜることは出来ないか?そうしたら鶏インフルエンザの予防にならないか?
インターネットで調べていろいろな会社やいろいろな人にアタックしました。役所にも何か補助金が出ないかと聞いたりもしました。
結果、惨敗です。

摘果ミカンはそんなに量が集まらないよ。基本、摘果を最小限に抑えるように剪定したり、摘果材をかけたりするんだから。それに、摘果ミカンを収穫時みたいに集めてたら時間がかかって仕方がない。もとより協力してくれる農家さんはいないと思うよ。

なるほど・・・ならばシロップはどうだろう。炭酸水で割ってジュースにしたり、お酒に入れたり、かき氷にかけたり…
農家の友達に声をかけてみようか。アイデアも出るかもしれないし、摘果ミカンも集まるかも…
農家の友人2人に声をかけました。摘果ミカンの時期の前に、試作品として甘夏みかんのシロップを作ったり、マーマレードを作ったりしましたが(写真を撮ってないのが残念です。)、現段階では商品として販売できるところまでには至っていません。

摘果みかんの量が確保できないのなら、空き家を利用してCAFEをOPENし、かき氷を提供するのは?
友人たちとかき氷を食べに行って研究したり、廃校になった小学校が使用できないか聞き合わせたり思案中です。保健所の許可等難題は多く、友人たちも農家とパート勤めのダブルワークのため、焦らず、永い目で実現できるか3人で話をしています。今後動きがあったら記事にしますね。
摘果みかんの活用法
個人的に・・・
当園ではレモンも栽培しています。出荷できないレモンは、毎年、家用としてレモンシロップを作っています。主に炭酸水で割って、レモンジュースとして飲んでいます。これが子供達には好評で、次男は1人暮らしですが自分でもレモンシロップを作っているほどです。
家用なので特に分量は図らず、氷砂糖→レモン→氷砂糖→レモンと交互に入れて作ります。ここで重要なのが、容器の消毒です。私は消毒用エタノールで容器を拭き、更に35度のアルコールでシャカシャカします。そして完全に乾いてから、レモンを入れます。この消毒が不完全だとカビが生えてしまうことがあります。
また、毎日容器を上下にシャカシャカします。この作業でカビを防止し、果樹のエキスがより多く出ます。
この要領で今回は摘果ミカンシロップを作ってみようと思います。初めての試みなので、どのような味になるか分かりませんが…

今回は分量を量ってみました。
・ 氷砂糖・・・460グラム
・ 摘果ミカン・・・216グラム

どのような味になるか楽しみです。
まとめ
摘果は樹の負担を軽減し、高品質なミカンを栽培するために大変重要な作業です。更に経済的にも重要です。
その摘果ミカンには、β-クリプトキサンチン、クエン酸、ペクチン、ヘスペリジン、ビタミンCといった栄養が詰まっている宝のような果実です。
この栄養豊富な摘果ミカンの活用法を、今後も模索続けていきたいと思います。
面白そうな活用法を思いついた方がいらっしゃったら教えてください。



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